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「生のつながりへの想像力:再生産再考」(イニシアティブ4 研究会)

日 時:2008年11月4日(火) 11:00~17:00
場 所:総合研究棟2号館(旧工学部4号館)4階会議室(AA447)
場所変更→京都大学本部キャンパス人文科学研究所本館(新館、旧工学部5号館)4階大会議室

タイトル:『生のつながりへの想像力:再生産再考』

プログラム
11:00-11:20 趣旨説明 速水洋子(京都大学)

11:20-12:05 宇田川妙子(国立民族学博物館)
「人の断片化か、新たな関係性か:イタリアの生殖技術論争の事例から 」

12:05-12:50 砂川秀樹(実践女子大学)
「同性愛者のパートナーシップと家族、次世代への継承」

12:50-14:00  昼食(大文字部屋)

14:00-14:45 工藤正子(東京大学)
「国際結婚にみる「つながり」の形成―パキスタン人移住労働者と結婚した日本人女性たちの事例から―」

14:45-15:30 鈴木七美(国立民族学博物館)
「次世代コミュニティ・デザイン
‐ケア・教育をめぐるオルタナティブ思想・実践から考える‐」

15:30-15:45  休憩

15:45-16:15 コメント
椎野若菜(東京外国語大学)
田中雅一〈京都大学〉

16:15-17:00 総合討論


趣旨説明
「再生産」は「生物学的」再生産としての生殖に関わるものから、経済学的には物質的財の継続的生産・分配・消費、労働力の再生産、そして社会システムや文化的再生産まで、ディシプリンによって大きく異なる問題系に含まれ、それゆえに曖昧な概念です。また、近代システムにおけるジェンダー役割を論じる中で再生産を生産と対置させる議論が進められました。こうした文脈に抗して、より統合的に再生産を考え、私たちの生の様々なあり方の継承を持続型生存基盤のパラダイムに向けた議論として意味あるものとするために「生のつながり」について考えたいと思います。生殖を出発点としながら、人が次世代へと生のあり方全体をどのように継承し存続させていこうとするか、という観点から再生産を再考していきます。人から人へ生のあり方を継承していくこと、そこには遺伝子や「血」の論理という生殖そのものをイメージした「生物学的な」継承、モノを介した経済的継承、および社会システム、価値や文化的・象徴論的な継承、あるいは、身体的実践そのものの継承などがあります。
彼方の社会の社会システムの持続と継承を考える上で、かつて人類学では「親族」という問題領域が重視されました。しかし、他社会の「親族」を理解する枠組が常に自社会の諸前提を脱し切れていないと気づいたことから、この領域への関心は失われました。近年、新たな様相で活発化する親族研究の展開の中で、「関係性」(relatedness)、あるいはその関係をつなぐモノに注目し、親族・家族の関係における社会的なものと生物学的なものの所与の分別、生殖技術と知識や価値の相互関係の動態、カテゴリーの普遍化や固定化された既存の社会単位・概念・組織原理の再考がなされています。旧来の親族理論がいわゆる「彼方の他者」を対象としてきたのに対して、研究者自身の足元にある親族に関わる観念と、彼方の他者のものとを同じ俎上に乗せて議論することで、私たち自身の生の継承を「彼ら」の生の継承と相互参照させながら、ディシプリンを超えてより豊かに想像することを目指したいと思います。
ここでは『親族』や『再生産』を「生のつながり(関係性)」という視点から再考し、現代社会における「生のつながり」とは何かを考えていきます。次世代への継承、時間の流れの中での生のつながりを考える契機として、新生殖医療、国際結婚、同性愛家族などを取り上げます。また、時間的には「逆行」するようですが、高齢者と介護の問題は、子にとっての親を見ることで、生のつながりを逆の視点から見るトピックとなります。その流れの中で、特に、新生殖技術、移動と流動、グローバル化する社会にあって人としていかに何を継承し、文化的に、「生のつながり」を実現していくかを、自他の社会の中で考えたいと思います。  〈速水洋子〉

宇田川妙子(国立民族学博物館)
「人の断片化か、新たな関係性か:イタリアの生殖技術論争の事例から」
イタリアでは2004年、生殖補助医療法が成立し、翌年には改正を求めた国民投票が不成立になったが、その前後から、生殖技術をめぐる論点は 「家族」から「生命」に変わりつつある。しかも現在では、生殖技術よりも中絶や安楽死が論争の中心になっており、ここでもキーワードは「生命」である。生 殖技術は家族・親族関係に新たな頁を拓きうると言われたが、少なくともイタリアの法制化をめぐっては、新たな家族・親族関係の萌芽や内省よりも、性や生殖 に関してきわめて近代主義的でテクノ化された議論が繰り広げられ、いわゆる「生-権力」が剥き出しになった。その一極が「生命」言説であり、そこには社会 関係および人の「断片化」も見てとれる。ただしこれは、狭義の政治の場における議論であって、人々の日常と多少乖離しており、「生-権力」自体も多元的で はある。本発表では、この「生命」言説が、いかに彼らの家族・親族を含めた社会関係(の変容)と関連しているのか、そこで交渉されているのは何なのか、そ の一端を考えてみたい。

砂川秀樹〈実践女子大学〉
「同性愛者のパートナーシップと家族、次世代への継承」
近年、西欧や北米だけでなく、中南米地域などでも同性間のパートナーシップを法的に認める動きが広がりつつある。しかし、そのことを織り込んだ家族論は極めて少ない。また、米国などではレズビアンカップルが人工授精により出産をおこなったりすることも、ますます増えている。親族研究に蓄積のある人類学はそれをどのように取り込んでいくのか、大きな課題となりつつある。また日本では、同性カップルを法的に保護する制度はなく、時に成人同士の養子縁組がその代わりとして用いられてきた。法的保護がないこと、養子縁組をその代わりとすることが、どのように日本の同性愛者の関係性構築に影響を与えてきたのかについて、欧米の研究を参考にしながら 考えてみたい。

工藤正子(東京大学)
「国際結婚にみる「つながり」の形成―パキスタン人移住労働者と結婚した日本人女性たちの事例から―」
現代日本の家族の変容をみたときに、特徴のひとつとして挙げられるのが、1980年代以降の「国際結婚」の増加である。とくに、日本人女性と外国人男性の組み合わせに関しては、相手の国籍の多様化が顕著であり、その背景には、同年代に急増した外国人労働者との結婚増加があると推測される。本発表は、こうした結婚のなかで、パキスタン人ムスリム男性と結婚をした日本人女性たちの経験に焦点をあて、彼女たちのトランスナショナルな生活世界のなかで、「家族」がいかに構築されるのかを考察する。
発表者は1990年代末より、関東圏でこれらの女性たちに聞き取り調査を行ってきた。こうした家族において、現在、傾向としてみられるのが、移動労働者であった夫が日本でビジネスをつづけ、日本人女性は子どもをつれてパキスタンに移住する、という国境を越えた家族の分散である。発表では、こうした「家族」が形成される背景にある複合要因を検討したうえで、分散しつつも、つながり合う「家族」のなかに、出稼ぎ労働者である夫たちと、彼らと結婚をした日本人女性たちそれぞれの「つながり」に対する想像力や期待がいかにせめぎあい、次世代に向けて形成されつつあるのかを考察したい。

鈴木七美(国立民族学博物館)
「次世代コミュニティ・デザイン‐ケア・教育をめぐるオルタナティブ思想・実践から考える‐」
少子高齢・多文化化という社会状況のもとで、子どもの誕生・登場・育成や高齢者ケアをめぐるオルタナティブが活発に提示されてきた。次世代育成あるいはライフステージの渡りに関わる多様な実践は、ローカルなコミュニティ・デザインに関するアイディアの表現と議論の時空間を創出することでもある。本報告では、ケアや教育に関わる施設の展開に次世代コミュニティ・デザインがどのように表現されているのかを考えてみたい。(参考:2008『少子化社会におけるライフデザインの実践と議論に関する文化比較の医療歴史人類学研究』平成17~平成19年度科学研究費補助金(基盤研究(C))研究成果報告書;2008「『新しい家族』を求めて‐デンマーク・フランス・スイスの国際養子縁組の現状‐」平成16年度~平成19年度科学研究補助金(海外学術調査)基盤研究(A)『新生殖医療に起因する国境を越えた社会・文化的諸問題の実証的研究』調査報告書、pp. 251-263;2008[1997]『出産の歴史人類学』;2007「デンマークの福祉における余暇の思想」『人間学研究』)







【活動の記録】

本シンポジウムでは、これまでの親族関係論では捉えきれない新たな「つながり」について、四人の話者から興味深い事例が紹介された。これらの事例で共通しているのは速水氏が総合討論において指摘したように、あらたなつながりを「選択」する個人が存在していること、そして、既存の社会や法制度の縛りという壁と対面していることであった。
 

同性婚の場合、社会から認められたいという当事者たちの思い、そして親族以外は重要な場に立ち会えないなどいった法 制度の柵による生活上の限界があり、養子縁組によって打開を模索する。しかし同時に、法的に認められるならば、その新たな「つながり」は規定され、それま での多様でゆるやかな関係性は排除される結果にもなってしまう。安全な生殖技術のための制度化は、実際にこの技術を求める人々が活用できない結果となる。また、家族や新たな「つながり」にたいして当該社会が「なにを由とするのか」によって、その個人の「選択」は影響をうける。パキスタン人夫との国際結婚や国際養子縁組の事例においても、そのような「つながり」を生み出す社会背景がどのようなものであるかという点をさらに追求していくことの必要性を椎野氏はコメントで示唆した。
 

 今回の発表では、家族や親族に代わる新たな「つながり」の可能性が示されたが、「つながり」はまた、特に家族のようなつながりでは、切りたくても切る事ができないというネガティブな側面もある。そのようなネガティブな面もまた議論していく必要があるのではないかという意見がだされた。また、現実的な人間関係のなかでは、強固なつながりばかりでなく、なんとなく一緒にいるというようなゆるやかな関係や「クサレ縁」のようなものが大きなウエイトを占めている。血縁/個人の選択による理想的なつながり、という二項枠組みの間を埋める議論が必要となるのではないかとの意見もあがった。そして、田中氏がコメントで発言したように、新たな「つながり」において、それを実在の表象として捉えるのではなく、つながりが生成されるそのプロセス自体を探っていくことが、本課題を検討していく上で重要な鍵となるのではないだろうか。
 

 

(文責 加瀬澤雅人)

 

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