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「人・モノ・技術のネットワークへのイントロダクション」(イニシアティブ4 研究会)

日 時:2008年6月20日(金) 14:00~17:00
場 所:人文科学研究所セミナー室1(101号室)

話題提供者:木村周平(京都大学東南アジア研究所GCOE助教)
タイトル:「人・モノ・技術のネットワークへのイントロダクション」

要旨:
本発表は、いわゆる人文社会系と理工系の研究の接点として、人・モノ・技術のネットワークという枠組みから生存基盤について考えるためのひとつの試みである。本発表では具体的には2つのことを行う。まず、STS(科学技術社会論)の議論と、そこで現われてきた「社会(あるいは地域)」と「科学技術」を分断せず、ひとつの混成物あるいはネットワークとして記述する仕方について、事例を交えながら紹介する。次に、以上の枠組みに基づきつつ、生存基盤にむけて議論を進め、人・モノ・技術の、圏-横断的な相互作用の記述が、パラダイム形成にとってのひとつの貢献になりうることを主張する。

話題提供者: 足立明(京都大学大学院アジア・アフリカ地域研究研究科教授)
タイトル:「活動における多様な知のありよう」(仮)

要 旨:
歴史的に蓄積された在来知(概念・実践知、生態・社会関係、価値観、技術・技法など)と近代的な科学技術・制度・思想との媒介・接合を考える際に、必要と思われるさまざまな知のありようを、物知識、空間知能、風土知識といった概念をとおして考えてみたい。







【活動の記録】
今回の発表では科学技術に対してSTS研究,アクターネットワークといった人文科学からの議論が紹介され、人文科学系、科学技術系それぞれから多くの参加者があった。

 木村氏は、これまでのSTS研究やネットワーク論を踏まえて今日の科学技術の在り方を捉え、また地域社会の在来知のあり方を比較したうえで「安定化」という動態的な視点を導入し持続型生存基盤の可能性を考察した。一方足立氏は、アクターネットワークの議論に生態心理学や活動理論を交えて、具体的な活動や問題解決に関わり得る方法を検討し提示した。コメンテイターからは、科学技術という「ブラックボックス」を開くことにいかなる意義や有用性があるのかという質問が発せられた。これに対し、これまで見えなくなっていた視点を提示することで、科学技術が社会的なものであることを確認し、そのことは実際にそれらが社会で活用される場においても重要な意味合いをもつと両発表者は説明した。

 出席者を交えた質疑応答においては、「科学技術論」として科学と技術をひとくくりに論じることへの疑問が示された。また太陽発電衛星(SPS)研究にかかわる篠原氏は、SPSが実現されない背景に、技術が固定化された知や言説のなかに「安定化」してしまっているからなのではないかと述べ、「安定化」そのものが技術革新を阻害している可能性があることを示唆した。木村氏は、揺れ動きながらも安定化していく在来知のあり方を参考に、安定化を固定化とは違うものとしてみるべきであると説明した。

 このほか、ネットワーク論においては権力性の扱いが不明確であるという指摘に対して、この議論が既存の権力構造にとらわれないことによる、新たな議論を切り開く可能性の存在を、足立氏は示唆した。また「誰にでも良い」科学技術や知識が存在するのだという言説自体をまずは問題にするべきであり、そのため「価値」を考えていく必要があるのだろうという指摘がなされ、誰にとっての生存基盤なのか、といった根本的な問いに立ち戻って考えていくことの重要性が確認された。

 本研究会は科学技術をめぐって、文系、理系の垣根を越えて白熱した議論が交わされる有意義な場となった。ただし出席者の中には、科学技術論の射程とその有効性について、わかりにくいところがあるという意見も少なくなかった。この点については今後、十分に時間をかけて議論していく必要があるのではないだろうか。

(文責 加瀬澤雅人)

 

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