jikotenken_2012naito
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- 64 - 第二は大学院教育の制度整備についてである。大学院アジア・アフリカ地域研究研究科(ASAFAS)に持続型生存基盤研究講座を設置する方向で制度改革の努力を進めてきた。新しいパラダイムのもとでの人材育成を制度化するため、ASAFAS と人材育成センターの緊密な連携のもとに、協力部局の全面的なサポートを得て、当初計画の「持続型生存基盤コース」よりもさらに本格的な講座設置を推進し、平成21年4月より大学院アジア・アフリカ地域研究研究科にグローバル地域研究専攻を新設した。新専攻に設置される持続型生存基盤論講座に新規で教授2名を採用した。現在本講座は、「持続型生存基盤研究の方法」や「国際環境医学論」、「熱帯乾燥域生存基盤論」、「熱帯森林資源論」、「人間環境関係論」、「生存圏科学論」等の科目を提供し、他専攻からも多くの院生が受講している。本プログラム終了後は、グローバル地域研究専攻が教育・人材育成の中核を担う予定である。 第三は、大学院生・若手研究者に対する支援体制についてである。平成22年度においては、若手研究者を対象とした次世代研究イニシアティブ助成(11 件)や、大学院生を対象にしたフィールド・ステーション派遣(26名)を実施した。また「組織的な若手研究者等海外派遣プログラム」との連携により、GCOE特定助教・特定研究員を含む若手研究者の海外研究機関への派遣も推進した。これらに加えて、海外観測拠点派遣支援や、論文掲載料支援、英語論文校閲支援を行った。これにより、若手研究者および大学院生の研究活動を当初計画通りに活性化することができた。また平成20年度に、アジア・アフリカ諸国の優秀な若手研究者を本拠点に招へいし、最先端の研究現場での議論への参加を促進する若手研究者交流を実施したことを受け、平成21年4月からは、アジア・アフリカ諸国の優秀な修士号取得者を対象として、京都大学への編入により博士号の取得を支援するプログラムを実施している。 グローバルCOEプログラム「生存基盤持続型の発展を目指す地域研究拠点」を開始して4年が経過した。最終度においては、これまでの各種研究会や国際会議での議論などを通じて蓄積されてきた「持続型生存基盤パラダイム」の関する知見を、各研究イニシアティブの代表者から発信するとともに、プロジェクト終了までの残り1年間を見据えた方向性を具体的に提示し、プロジェクト全体の今後の研究活動を幅広く議論する場としたい。さらに、人類の生存基盤の持続性を、地球圏・生命圏・人間圏の論理にもとづいて評価するための「生存基盤指数」を構築するとともに、最終成果を目指して「持続型生存基盤論講座」(全6巻)の刊行を企画・推進したい。 また本プログラムに関連して、特別経費事業「ライフとグリーンを基軸とする持続型社会発展研究のアジア展開」(23年度~)や科学技術戦略推進費事業(22年度~24年度)など、いくつかの外部資金により本プログラム終了後の拠点・ネットワーク形成を担う事業が進みつつある。今後、これらの新規プロジェクトを通じてより多角的なニーズを満たす展開が構想されると確信している。 拠点リーダー 杉原 薫 自己点検評価委員会委員長 川井秀一 事務局長 河野泰之

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