jikotenken_2012naito
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- 45 - 6.5 研究イニシアティブ3 G-COE第3イニシアティブは、文理融合のフィールドワークに基づいた、持続的森林圏の研究あるいは、熱帯バイオマスの生存基盤価値の研究を通じて、生存基盤持続型発展の実証研究を目指してきた。 フィールドを、リアウ州のブンカリス県やシアク県などに拡がるギアム・シアッ・クチル・バイオマスリザーブに設定して、リアウ大学、インドネシア科学院、林業省と協力して調査を実施し、同時に、この地域に広大な産業植林権をもつシナール・マス社とも協力した。調査は、持続的バイオマス生産に焦点を合わせつつ、同地域には泥炭湿地が広範に広がっていることから、泥炭地の劣化と改善に焦点を合わせた。 G-COE第3イニシアティブの調査チームは、バイオマス生産チーム、生物多様性チーム、および社会経済チームより構成された。 バイオマス生産チームは、バイオマスの生産と同時に炭素の固定化および排出について研究した。これにより、バイオマス生産が土地利用や投入財にどのように規定されるのかを検討すると同時に、どれくらいの炭素がバイオマス生産によって固定されるのか、他方、泥炭地利用によってどれくらいの炭素が排出されるのかを研究した。 生物多様性チームは、泥炭湿地の保全のためにどのような樹種がどのように植林されるべきなのかについて、検討した。また、ことなった土地利用の間の生物多様性の差を、動物や鳥、さらにミミズの関する研究によって明らかにしようとした。 最後の社会経済チームは、泥炭地利用において、泥炭湿地地域に長年住んできた地元住民と、最近移ってきたばかりの移民では、泥炭地利用のローカル・ノレッジの量や質に大きな差異があると考え、各々住民が多数を占める異なる村において、バイオマス生産の社会経済的特質を明らかにしようとした。具体的には土地所有や、オイルパームやゴム、そして漁業やその他の農業さらに商業サービス業の業態や所得、就業構想、あるいは親族組織を明らかにしようとした。また、特定集落の移民について、その出身や移民に至った理由や経路などを明らかにしようとした。 本年度、G-COE第3イニシアティブは、インドネシア政府・調査時術担当国務大臣府から調査許可を取得し、内務省、林業省、リアウ州、ブンカリス県、シアク県、さらに警察や出入国管理事務所などからも各々必要書類を取得して調査を開始した。 調査は、主としてブンカリス県のブキットバトゥ郡にある、トゥミヤン村、スパハック村、さらにタンジュン・ルバン村などにおいて実施された。 バイオマスチームは、タンジュン・ルバン村などにおいて、ゴムやオイルパームについて、実際のバイオマス生産がどれだけであるのかを実測した。この具体的なデータは、衛星画像の分析と組み合わせることにより、ギアム・シアッ・クチール地域のバイオマス生産のフローとストックの量を特定することを可能にした。また、炭素の固定化および排出の研究は、各地の水位の変化の研究と結びつけられて実施された。 生物多様性チームは、泥炭湿地の劣化を押しとどめ、その回復を可能にするためにどのような樹種が適切なのかを、実際に色々な樹種を植えてみることよって明らかにしようとした。ビンタンゴール、ジュルトゥン、ラミン、メランティなどの樹種について多角的ない研究を行うと同時に、自然な植生を行っている木からの苗の採取を行った。さらに、生

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