inspectionFY2009
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41 機関による森林認証制度を取得した広大な面積の択伐林が残されている。海外連携フィールドワークによって、実際に現地を訪問し、木材伐採システムと動植物に関する生態学的な調査とを行った。詳しい調査は継続中であるが、広大な面積の森林における人為的利用と植生の再生とが両立するためのユニークな事例であることがわかった。 技術の多目的利用調査では、インドネシア中部のジョクジャカルタ近郊の森林における木炭生産現場を訪問し、木炭の多様な生産方法についての調査を行った。材木として利用不可能な多種多様な材木や間伐材を利用した木炭生産技術が存在し、森林を維持しつつ、森林が生み出すバイオマスを効率的な熱エネルギーに転換するための優れたシステムであるといえる。また、宇宙太陽光発電のような巨大テクノロジーの開発にとってキーテクノロジーの開発が重要であり、そのためには、地域社会の多様な利用を考慮した技術開発の方向性を模索する必要のあることがわかった。 国際シンポジウム 2009年12月14日~17日に開催されたG-COE国際シンポジウム“Changing Nature of Nature: New Perspectives from Transdisciplinary Field Science”では、国内研究会で議論した熱帯の気象変動や人為撹乱をテーマとした発表が組み込まれ、議論された。 また、ラオスフィールドステーション国際ワークショップ(Faculty of Agriculture, NUOL および京都大学東南アジア研究所の共催)(2010/2/17-19)“The Alternative value of Traditional Agriculture for Education, Research and Development”を開催した。 6.4 研究イニシアティブ3 近年、インドネシアでは森林破壊が急速に進行し、泥炭湿地の野焼きが加わって地球温暖化の原因となってきている。自然林がやがて大規模な産業人工林に変換し、これが地域の林業や産業として持続的生存基盤のひとつとなりつつある。生存圏研究所と東南アジア研究所は、これまで様々な東南アジア諸国において研究活動を行ってきたが、持続的生存基盤の実学を共同で研究することになった。これまで共通のフィールドを探してきたが、スマトラ島リアウ州のバイオスフィアをフィールドにすることで昨年度末に一致した。森林持続の科学と森林周辺に住む地域住民の生存基盤の仕組みを理系と文系の研究者が互いに融合(文理融合)できる場として「持続的森林圏」の創生を研究課題とした。なおRiau Biosphere Reserve(78万ha)は、2009年6月にユネスコに登録され、バイオスフィアの名称がThe Giam Siak-Bukit Batu Biosphere Reserve of Riauと定められた。これを祝って、7月1日にペカンバルで記念祝賀会が開催され、林が代表として出席した。 また7月31日~8月1日には、本GCOEメンバー、LIPI研究者およびリアウ大学研究者らで、バイオスフィアのコアゾーンであるBukit Batu自然林に入り、乾季の泥炭湿地の状況、違法伐採や野焼きの現状などを視察した。このツアーを参考に、樺沢氏がHSスクールで、インドネシアのエコツーリズムの可能性について講演した。 8月には生存圏科学スクール(HSS)を実施し、本GCOEメンバー9名、LIPI研究者5名およびリアウ大学研究者4名の演者に加えて、JICA研究者1名、インドネシア林業省自然林庁から1名、インドネシア科学技術省から1名、SinarMas社研究所から1

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