inspectionFY2008
6/170

3理論的に解明するとともに、東南アジアの大規模植林をとりあげて、そこにおける生態系と生物多様性の維持、地域社会との関係、バイオエネルギーの開発などのテーマを総合的、体系的に解明しようとした。これらの作業の中間的な成果は、近く刊行される『地球圏・生命圏・人間圏-持続型生存基盤とは何か-』(京都大学学術出版会、印刷中)にまとめられており、本プログラムを通じて新しいパラダイムの萌芽が見えてきている。 成果の発信 平成20年度においては、本プログラムメンバーに加えて、国内外から関連研究者を招へいして、パラダイム研究会を12回、国際シンポジウム・セミナーを19回、その他、イニシアティブ研究会・ワークショップを多数主催・共催し多。また、その成果を速報として公開するワーキングペーパー73冊を刊行した。国際学会での招待講演も、Santa Fe Institute Conference on ‘History, Big History and Metahistory: An Approach through the Sciences of Complexity’における“The West, East Asia and the Tropics in Global Economic Development”(杉原薫)等、積極的に実施している。また国際誌への投稿論文に関しても、“Transparent nanocomposites based on cellulose produced by bacteria offer potential innovation in electronics device industry”(Advanced Materials、矢野浩之)等、本プログラムの成果が現れ始めている。これらの成果を、「生産から生存へ」、「地表から生存圏へ」、そして「温帯から熱帯へ」の3つの視点を柱としてとりまとめた単行本『地球圏・生命圏・人間圏-持続型生存基盤とは何か-』(京都大学学術出版会)を印刷中である。さらに、本プログラムによるこうした刊行物に加えて、『東南アジア研究』、『アジア・アフリカ地域研究』、Kyoto Review of Southeast Asia, African Study Monographsなどにおいても徐々に、本プログラムに関係する論考が現れ始めている。 教育・人材養成 本拠点の第二の目的は、パラダイム形成の現場に触れた、本格的な文理融合型研究を担う若手研究者を養成することである。本プログラムの特徴は、21世紀COEプログラム「世界を先導する総合的地域研究拠点の形成」によってアジア・アフリカ地域に設置した14ヶ所のフィールド・ステーションを継承・発展させ、フィールドワークから国際ワークショップにいたるまで、研究パラダイム形成の現場に博士後期課程の大学院生・ポスドク研究員・助教からなる若手研究者を主体的に参加させることによって、人材育成と研究を融合させるところにある。そのために、「生存基盤地域研究人材育成センター」を設置して、グローバルな人材発掘からはじめ、研究・教育を経て、国際キャリア支援にいたる、文理融合型の国際的人材育成システムを構築する。 また、海外の地域研究拠点(コーネル大学・ロンドン大学・ライデン大学・オーストラリア国立大学等)と連携し、アカデミック・ディベートを通じて地域研究や専門分野を超えたパラダイム形成能力を養成する。国際的発信能力強化のために、国際学術雑誌への論文掲載や単行本出版のための支援を行うとともに、コミュニケーション能力の向上や研究会・プロジェクトの企画運営能力の向上を目的とした人材育成プログラムを推進する。 これらのプログラムによって、これまでの実績以上の博士修了者を、世界の学術界を先導する大学・研究機関そして世界で活躍する民間企業に送り込む。また、国際連合、世界

元のページ 

10秒後に元のページに移動します

※このページを正しく表示するにはFlashPlayer9以上が必要です