inspectionFY2008
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356.4 研究イニシアティブ3 本研究イニシアティブは、生存圏研究所と東南アジア研究所のこれまでの研究の蓄積を踏まえ、同じフィールドで共同研究を進めて実践的な文理融合を行うものである。近年、森林破壊の著しいインドネシアにおいて、産業植林は、持続的森林圏の構築のため重要な役割をもつ。アカシア林などはその例であるが、土壌の劣化、単一樹種植林による病気の蔓延、更に自然林の違法伐採は森林破壊を助長している。また、近隣住民の対立による紛争問題も起きている。科学的に社会学的に森林持続の科学と地域住民の生存基盤の仕組みを理系と文系の研究者が互いに融合(文理融合)できる場として「持続的森林圏」の創生を研究課題とした。 研究サイトの模索 本研究グループは、もともとスマトラ島パレンバン近郊のアカシア林(19万ha)のサステナビリティ研究をテーマに文理融合の研究を進める計画であった。会社側(M社)が、好む研究と好まない研究の区分けを示し、研究テーマにクレームをつけたため、研究を進めることができなくなくなった。そこで2008年度の研究については、フィールドを限定せずに各々の設定したフィールドで研究を進めてもらい、その研究成果を共有して解析するタイプの研究グループに変更した。情報交換の場とするだけでなく、他のフィールドへの共同研究を促進する場への試みも行った。イニシアティブ3の研究が、産業人工林のサステナビリティをテーマにした実践研究であり、フィールドを1か所に限定しないけれども、各々のフィールドで実践的な研究を基本に進めた。今年度研究費を配分された、個人またはグループの氏名と研究プロジェクトを記す。 1)小林祥子、甲山 治、大村善治、川井秀一:地上観測および衛星観測データを用いたスマトラ島南部における森林バイオマスの動態評価 (50万円) 2)渡辺隆司、大橋康典:東カリマンタンのバイオ燃料開発の現状と動向 (35万円) 3)Retno Kusumaningtyas、水野広祐: Integrating industry based bio-fuel production from timber with traditional local community crop production in Indonesia (25万円) 4)Wil de Jong:Balancing Tropical Forest Property - Regulatory - Support Regimes (25万円) 5)田中耕司、岡本正明、島上宗子、藤田素子:政治・社会・生態空間としての混合樹園地:地方分権下の森林地帯のガバナンス (55万円) 6)石川 登:人工林と地元コミュニティの関係、東マレーシアの事例 (25万円) 7)藤田素子:生物多様性はなぜ維持されないのか?熱帯大規模人工林をモデルケースとした生態学的・社会学的アプローチ (25万円) 8)鈴木史朗、梅澤俊明:熱帯アカシアの育種 (35万円) 9)海田るみ、林 隆久:熱帯早生樹の育種的改良 (25万円) イニシアティブ3の研究会においては、互いの共同研究を促進することに主眼を置き、フィールドにおける実践的な研究成果の報告を行った。特に研究費を配分した個人またはグループには、ワーキングペーパーの提出をお願いした。また、3月9日~11日の国際シンポ

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