inspectionFY2008
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13 加えて、平成21年4月に大学院アジア・アフリカ地域研究研究科グローバル地域研究専攻および持続型生存基盤論講座を新設した。また同講座に新規で教授ポスト2 を措置した。事業推進担当者を中心とする他部局の関連教員も、この講座の教育研究活動に協力教員として参画することにより、本プログラムで創生する持続型生存基盤研究(Humanosphere Studies)を自主的・恒常的に継続・発展させることができる。同講座では、平成21年度に、「持続型生存基盤研究の方法 I」、「持続型生存基盤研究の方法 II」、「熱帯乾燥域生存基盤論」、「熱帯森林資源論」、「人間環境関係論」、「国際環境医学論 I」、「国際環境医学論 II」、「生存圏科学論」の8つの講義を開講し、自然生態、政治経済、社会文化を包摂した総合的地域研究と人類の生存基盤を左右する先端的科学技術研究を融合させた教育研究活動を継承・発展させる。 熱帯乾燥域生存基盤論(前期2単位、小杉泰) 熱帯乾燥域である中東・北アフリカについて、歴史的にどのような生存基盤持続型の社会・経済・政治システムが展開してきたのか、その特徴とは何か、またそのような文明的な遺産を現代的に展開しつつあるイスラーム金融などの発展からいかなる将来的な展望が描きうるのか、考察する。 熱帯森林資源論(後期2単位、小林 繁男) 熱帯林における生態資源の現状を地域住民の生活との相関で説く。森林生態資源を生物資源と環境資源に区分し、前者を住民の生存基盤として人間の安全保障、後者を生存基盤として地球環境問題との関連性を言及し、熱帯林生態資源の持続的利用について考察する。 人間環境関係論(前期2単位、田辺 明生) 人間と環境の相互作用的な関係について、社会と技術と生態の連関に注目しながら論じる。持続型生存基盤の構築に向けて、人間と環境の関係をどのように再構築できるかを地球と地域の両方の視点から考察する。 生存圏科学論(後期2単位、山本衛 他) 人類の生存圏である人類生活圏、森林圏、大気圏、宇宙圏などにおいて、人類社会の持続的発展を考える上で重要となる自然あるいは人為起源の現象がどのように生起しているのかについて明らかにする。特に、地球大気環境の精密な計測手法について紹介するとともに、観測情報の統合的な解析を通してそのメカニズムを総合的に分析する。また、森林の作用に注目しながら、生命科学的観点から森林資源としての木質の形成機構の解析・統御方法について考察するとともに森林の環境修復を目指した研究を紹介する。 また、これらを補完するために、地球環境学舎を受け皿として全学的な講義体制を構築している京都サステイナビリティ・イニシアティブ(KSI)のサステイナビリティ学コースにおいて、以下の講義を提供している。 生存圏開発創成科学論(前期2単位、川井秀一・矢野浩之・大村善治 他) 人類の生存圏である人類生活圏、森林圏、大気圏、宇宙圏などにおいて、人類の生存を脅かすさまざまな事象が発生している。この生存圏の悪化の現状を打破し「治療」に結びつく方策について考察するとともに、宇宙空間から地表に至る生存圏の新たな開発創成の可能性について、太陽エネルギーの利用を軸として、持続的社会の構築に向けた木質資源の循環システム構築のための技術開発、および宇宙太陽発電や人類の宇宙活動を左右する宇宙電磁環境の衛星観測や計算機シミュレーションなど人類の宇宙への生存圏の拡大のための技術開発の現状と展望について述べる。

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