inspectionFY2008
15/170

12 5-1 大学院教育部会 大学院教育部会では今年度大きく分けて二つのことを行った。一つは、①大学院アジア・アフリカ地域研究研究科(ASAFAS)で、G-COE『生存基盤持続型の発展を目指す地域研究拠点』が掲げる持続型生存基盤に関する講義および演習を実現するための検討の開始であり、いま一つは、②21世紀COEでASAFASの臨地教育で大きな成果を上げたフィールド・ステーションを活用した、若手研究者の育成を推進するための学生の現地派遣である。 5-1.1 ASAFAS新専攻「グローバル地域研究」および「持続型生存基盤論講座」について 大学院アジア・アフリカ地域研究研究科はカリキュラムの改善を進めている。本プログラムで創出しようとしている持続型生存基盤論(Humanosphere Studies)の中核科目として、平成20年度から、大学院アジア・アフリカ地域研究研究科の共通科目として「持続型生存基盤研究の方法」、「イスラーム世界生存基盤論」、「国際環境医学論」の提供を開始した。その講義内容は以下のとおりである。 持続型生存基盤研究の方法 I(前期2単位、杉原薫) アジア・アフリカ地域の生存基盤(人間社会とそれをとりまく「生存圏」-森林や水域。大気圏なども含む-)の構造と変動を考察するためのさまざまなアプローチを紹介しつつ、歴史的な観点からの総合化を図る。理科系、文化系を問わず、地域研究の側から環境問題に関心を持つ大学院生を対象とする。 持続型生存基盤研究の方法 II(後期2単位、河野泰之) 東南アジアを中心とする熱帯における農業開発、水利開発、農村開発委、農業生産と環境保全の競合などを含む自然資源の利用と開発、管理に関する基本的な視点を考察し、社会経済的側面を含む総合的な調査研究手法を学ぶ。 イスラーム世界生存基盤論(後期2単位、小杉泰) 乾燥オアシス地帯である中東に、イスラーム的なシステムがいかに成立、発展したかを歴史的に考察すると共に、現代において、固有の地域的特徴のなかで、いかに生存基盤を持続させながら、政治・経済・社会の維持・発展を試みているか、実証的に検討する。特に湾岸産油国や、オルタナティブとしてのイスラーム経済にも注目する。 国際環境医学論A(前期2単位、松林公蔵) 疾病と老化に関する基本的事項を総論的に解説したのち、人の疾病、老化と自然生態系ならびに文化に関する諸問題について、各受講生の関心領域との関連で、自由討議をおこなう。この過程を経て、各自のテーマと医学は関連する事項を考察する。 国際環境医学論B(後期2単位、松林公蔵) 東南アジア諸国における地域在住高齢者の健康実態に関するフィールド医学的知見を紹介し、個々の問題点に関する各論的討論を通じて、より具体的な課題の発見とその解決法を模索する。

元のページ 

10秒後に元のページに移動します

※このページを正しく表示するにはFlashPlayer9以上が必要です