inspectionFY2008
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114) 国際シンポジウム(3月9日~11日) 5) 総括討論会(3月13日) 本プログラムの成果について、各参加者が最終レポートを提出するとともに意見交換を行う。 若手研究者交流の成果は、若手人材交流の双方向化、交流相手国(または機関)の若手人材育成への協力、若手研究者の知的ネットワーク形成に要約することができる。 第一点については、日本と東アジア諸国(含インド)との若手人材交流は、これまで、留学などの場合を除けば主に日本から相手国へという一方的な人の流れとして実現される傾向にあった。そうした傾向を、人材交流の双方向化によって是正するというのが本プログラムの目標のひとつであり、今回の招へい実績はその重要な一歩とみなしうる。各招へい研究者は、日本での若手ワークショップや国際シンポジウムへの参加のみならず、エクスカーションでは日本国内のフィールドワーク拠点の活動への参加なども行い、成果発表やフィールドワークなどにおける人の流れの部分的な双方向化を実現した。また今回の交流事業に際し、交流拠点となったフィールド・ステーション(インド、ミャンマー、ラオス、インドネシア、カンボジア各国)の拠点機能の強化もあわせて行われた。これらフィールド・ステーションは従来、日本側研究者による一方的な研究拠点としての性格が強かったが、今回の若手ワークショップの一環として日本側、相手国側双方の若手研究者の協力により、フィールド・ステーションHPのコンテンツ拡充など発信機能の強化が実現した。以上の活動について、ワークショップの成果は論集New Paradigm for Human Beings and Nature: Frontier of Asian Area Studiesとして京都大学東南アジア研究所より公刊し、フィールド・ステーションの発信機能強化についてはウェブサイトの更新版として反映した。 第二点については、今回の招へいメンバーは、政治学、文化人類学、農学、林学など多様な学問的背景をもつ研究者によって構成されているが、若手ワークショップや国際シンポジウムでの討論への参加を通じ、研究分野や国家の壁を越えた分離融合型の学際的・国際的地域研究という視角から相互に知的啓発を行った。またエクスカーションに際しては、日本の農村における問題や地域おこし活動の現場を見ることを通じ、日本の農村との比較という新たな視点を提供した。 第三点については、各フィールド・ステーションごとに、そこでの活動に関連のある大学院生(京都大学大学院アジア・アフリカ地域研究研究科)およびポスドク若手研究者をファシリテーターとして配置し、招へい者へのオリエンテーション、若手ワークショップ、フィールド・ステーションHPのコンテンツ拡充といった作業を行った。これは招へい者の日本滞在を円滑ならしめることのほかに、各招へい者と問題関心を共有する京都大学の若手研究者とのあいだに人的パイプを形成することを目的とするものである。そのほか、レセプション・ディナーやプログラム終了時の送別パーティーなど、学術活動の外でも京都大学の若手研究者と交流する機会を公式非公式に設けることで、人的ネットワークの強化を行った。

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