inspectionFY2007
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2 2.プログラムの目標2.プログラムの目標2.プログラムの目標2.プログラムの目標 パラダイムの形成パラダイムの形成パラダイムの形成パラダイムの形成 本拠点形成の第一の目的は、自然生態、政治経済、社会文化を包摂した総合的地域研究に人類の生存基盤を左右する先端的科学技術研究を融合させて、「持続型生存基盤パラダイム」研究を創成することである。 近年のアジア・アフリカにおける総合的地域研究の成果から、人間の活動範囲が政治経済のグローバリゼーションによって地理的・空間的に拡大しつつあることに加え、地域はグローバリゼーションの単なる受け手ではなく、地域間交流などを通じて、グローバリゼーションそのものに影響を与える能動的な主体であることが明らかになった。一方、現代社会の要請に応え、地球環境問題、エネルギー問題を視野に入れた21世紀世界を展望するには、資本主義が前提としてきた私的所有権からの発想を相対化し、地表から宇宙までの空間的広がりをもった「生存圏」の物質・エネルギー循環に関わる研究を取り込み、ローカルにもグローバルにも持続可能で、かつ、科学技術・社会制度・価値観の考察を包摂した、新たな生存基盤持続型発展径路を構築するためのパラダイムを創出する必要がある。 具体的には以下の4つの研究イニシアティブを通じてパラダイム研究を推進する。イニシアティブ1「環境・技術・制度の長期ダイナミクス」は、人類が「生存基盤の確保」を主たる課題としてきた社会から、生活水準の向上や人口の増加、国力の増大を目指す「開発」型の社会に変化してきた過程を歴史的に解明し、先端科学の知見とつきあわせることによって、現代のアジア・アフリカ地域の環境、技術、制度にかかわる問題群を再検討する。イニシアティブ2「人と自然の共生研究」は、従来の地域に根ざした資源利用システム研究と、物質・エネルギー循環の危機を背景にした新しい研究・知見を融合させて、社会文化的に実現可能な資源利用システムを提言する。イニシアティブ3「地域生存基盤の再生研究」では、より大きな一地域(スマトラ・パレンバンなど)をとりあげ、森林の再生、第一次産品輸出経済の発展と周囲の植生、制度、雇用、地方政治との絡み合いを総合的に考察し、持続型発展のモデルを追究する。イニシアティブ4「地域の知的潜在力研究」は、人類の多様性を保証してきた文化、価値観のなかに、生存基盤の持続的発展の要因を探る。 成果の発信成果の発信成果の発信成果の発信 若手研究者を中心に研究助成やフィールドワーク支援を行うとともに、数十人規模のメンバーが恒常的に参加する研究会や国際ワークショップを頻繁に開催して、パラダイム形成とその浸透を図る。研究会やワークショップでの報告を改稿したものをワーキングペーパーとして順次刊行し、本格的な成果につなげる。分野によって成果の発信の形態は異なるが、英文、和文での査読付き雑誌への投稿と、編著書の刊行の二つが基本であり、とくに文理融合型の研究の発信は、後者を中心に考えている。 本プログラムによる主要な刊行物に加えて、『東南アジア研究』、『アジア・アフリカ地域研究』、Kyoto Review of Southeast Asia, African Study Monographsなどの発進力を高め、個人研究の英文出版を援助する。ホームページにも、ワーキングペーパーや関連するデータを公開する。関連図書の全国利用も強力に推進する。

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