inspectionFY2007
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19 けてきました。本プログラムでも引き続き、RAやTAを通して学生支援を行っていきたいと考えています。 ところで今回、①に見られた学生の対応を見ていますと、本プログラムに関して言えば、多くの学生にとっては日本に居て研究室での研究や教育の補助をすることよりも、時間的には自由で自らの調査・研究に多くの時間が割ける「派遣支援事業」への応募の方が魅力的であるらしいことを知らされました。本プログラムが対象とする大学院生の多くは、現地における長期の調査・観測を研究の中心に据えており、現地調査にかかる交通費・滞在費は学生にとって、避けて通ることが出来ない最大の経済的負担になっています。その点で、現地派遣費用の補助自体が、学生にとって非常に大きな経済的支援になっているのです。今回、RAよりも派遣事業に対する応募者が多かったことは、学生の側からみれば派遣費用の補助自体が充分な経済的支援となっているということの証明になっているといえます。さらに今回の応募実態から学ばされたことは、現地での長期滞在型調査を行おうとしている学生にとっては、現行のRA、TA制度(国内での研究・教育補助を対象としている)が時間的に応募しにくい制度になっていると感じられているらしいという点です。この点は今後検討しておく必要があると考えています。その一つの解決策としては、海外のフィールド・ステーションにおける臨地教育に関係して教育・研究補助を行う学生にはRAを認めるという方法があり得るかと思います。この点に関しては先ずは本プログラムの運営委員会で検討し、可能ならば実現したいと考えています。 本プログラムにおける大学院教育の中核を担うアジア・アフリカ地域研究研究科は、臨地教育と現地調査を大学院教育の中心に据えています。そのため、国内における教育・研究を主とする大学院とは自ずと異なる制度の運用が必要な場合があり、今回のRAの執行に関する事態も、そのことを示唆するものの一つであるようです。現地調査は、現地の政情、季節、研究の進捗状況、指導教員の現地出張予定(現地での臨地教育のため重要)等、様々な状況を勘案して、学生は指導教員と相談の上で慎重に決定しています。年度当初に現地調査の計画を決めていますが、現地の事情や論文執筆の過程で見つかる追加調査の必要性など、臨機応変に調査時期を変えることも大切です。個々人の研究計画をあらかじめ固定することが現地調査では難しいことも多く、RAやTAの決定にはいつもこの点で心を砕いています。経済的負担が大きく、かつ長期に日本を離れるという二重の意味で特殊な事情を抱える大学院生にとって、利用しやすい経済的支援とはどのようなものであるか、しかもそれが当人にとって有効なキャリアパスとして生かせるような方法とはどんなものか、これを機会に再検討していきたいと考えています。 今回は、本当にいろいろお手数をかけまして申し訳ありませんでした。本プログラムの特殊性をご理解の上、今回の予期せぬ事態の出来の理由をご理解の程お願いいたします。

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