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「持続型生存基盤パラダイムの創出に向けて」 [ 第1回研究会 ] (GCOEパラダイム研究会)

活動の記録>>

日 時: 2007年9月10日(月) 午後2:30~5:00
場 所: 京大会館101大講義室
■プログラム  
2:30 2:50 パラダイム研究会趣旨説明
2:50 3:10 イニシアティブ1(環境・技術・制度の長期ダイナミクス研究)
3:10 3:30 イニシアティブ2(人と自然の共生研究)
3:30 3:50 イニシアティブ3(地域生存基盤の再生研究)
3:50 4:10 イニシアティブ4(地域の知的潜在力研究)
4:10 4:25 休憩
4:25 5:00 総合討論

■G-COE開始式典
日 時: 2007年9月10日(月)午後5:30~6:30
場 所: 京大会館101大講義室

■懇親会
日 時: 2007年9月10日(月)午後6:30~
場 所: 京大会館SR室(会費制)

なお、今回の研究会および開始式典は日本語で行います。

タイトル:「持続型生存基盤パラダイムの創出に向けて」




【活動の記録】

イニシアティブ1「環境・技術・制度の長期ダイナミクス」
 本プログラムは、新しいパラダイムの形成という目標を持っている。すなわち既存の知が抱える問題を指摘し、オルターナティブを構想し、それに基づいた先端的な研究成果を出し、構想、実証、研究成果により、公論を形成するというものである。
 今日我々を取り巻く技術や制度は、私的所有権制度に見られるように、地表・温帯中心のものの見方に偏っている。地表から生存圏へ、また温帯から熱帯へ視点 を移すことによって、アジア・アフリカ社会の歴史や文化を熱帯生存圏への対応として捉えてみる。熱帯では環境リスクの軽減を含む生存基盤(人間社会から見 た生存圏)全体の確保を目指してきたため、温帯のように生存基盤を固定することで、稀少な資源の効率的利用に関心を集中させるような発展径路にはならな かった。しかし、地球環境問題や将来の熱帯での人口増加を考えれば、熱帯の発展径路こそ重要であり、これを取り入れた「生存基盤持続型」の発展径路を考え ていく必要がある。イニシアティブ1では、具体的には自然環境、紛争管理、防災、政治経済、文化・健康の各分野における研究から「地域サステイナビリ ティー指数」を作成することを考えている。

イニシアティブ2「人と自然の共生研究」
 グローバルな自然環境問題の存在によって、人と自然の共生が、地域レベルだけでなく地球レベルでも求められている。本研究では生存圏の視点から自然環境 を捉え、従来の文理融合を生存圏研究に拡大し、地球レベルの循環の中での共生を可能にする新しいしくみについて考える。そのためには、自然環境観を人為的 な自然環境を前提としたものに変更しつつ、例えば森林とは何か?自然とは何か?といった問いを考えることが重要である。また私的所有権を前提とするのでな く、過去から未来を含む人類の共有財として自然資源利用を捉える必要がある。さらに、科学的に確実な情報だけでなく、未確定の情報を確からしさに応じて集 約し、絶えず修正しながら未来を推定するような「科学的」判断が求められる。このようなパラダイムの転換を基礎として、「変動」と「多様性」に焦点を当て つつ、地球環境問題とローカルな生活とのリンクや、自然資源の利用、災害(と共にくらす)、医療・健康を具体的なテーマとして研究を行っていく。

イニシアティブ3「地域生存基盤の再生研究」
 本研究は、生存研と東南研のこれまでの研究の蓄積を踏まえて、同じフィールドで共同研究を行う試みである。インドネシア・スマトラ島のパレンバンにおけ るアカシアマンギウム大規模植林地が対象地である。これまで生存研では、育苗育種、組織培養、成長促進、材の利用といったアカシアの持続的経営に向けての 研究や、アカシアの炭素固定・サイクルといった生存圏における重要性を位置付ける研究が行われてきた。一方、地域研究の視点から見れば、このような大規模 植林地には地域社会との軋轢という大きなリスクが伴うため、社会的な持続性の低さが懸念される。対立を乗り越え、どのようにして持続的なものにしていくか が求められている。「複合化」をキーワードにしつつ、従来生存研が行ってきた「モニタリング・診断、開発・治療、適用・再生・自立」の方法論にガバナンス の視点を加えることで、「持続的森林圏」の創生を考えていく。

イニシアティブ4「地域の知的潜在力研究」
 本研究では、在来の知やシステムに先端技術の新たな可能性を接合し、生存基盤持続型の発展を支えるような地域の知的潜在力を発見・理解しようと試みる。 従来の地域研究は地域の固有性を強調しすぎ、地域を調和的なものとして描く傾向があった。しかし、気象条件変動への対応、セーフティーネット優先の人と 人、人と自然の関係を考慮すれば、地域を調和ではなく、多重的なリダンダンシー(重複性)を含む生態社会システムとして捉える必要がある。そして近代は、 このようなリダンダントな豊かさをもつ生存基盤を破壊したというネガティブな面に加えて、新たな科学技術・制度が導入されることで人々の行動選択の可能性 が広がるというポジティブな可能性からも評価されるべきである。さらには、近代資本主義が前提としてきた主体から客体への所有関係ではなく、関係性の質に 着目し、どういう風に他者や自然とつきあい、自己と他者をどう変えていくかといった多様な主体間の重層的交渉関係の動態を捉える必要がある。このようなパ ラダイムシフトを前提に、環境変化、戦争、高齢化と疾病、貧困等の分野の研究から生のあり方の再構築を行い、人類の多様性を保証してきた文化・価値観の中 に、持続的生存基盤を構築する能動的な契機を探っていく。

(文責 生方史数)