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G-COEプログラムにおける研究課題:甲山治

■アラル海流域における気候変動および人間活動が流域水循環に与える影響の評価

  流域における実際の水問題を解決するには水循環の変化等の自然条件と、地域における水政策の変遷といった社会的側面を評価する必要がある。現在中央アジア各国は深刻な水問題に直面していることから、シルダリアとアムダリア流域の水資源に関連する状況のうち水管理の変遷および気候トレンド解析を行っている。

  過去には世界で4番目に大きな湖であったアラル海には、2つの大河川シルダリアとアムダリアが流入していた。しかし1960年代にソビエト連邦が2つの河川の中・下流域に広がる広大なステップにおいて大規模灌漑プロジェクトを開始した結果、灌漑農地は1960年当時450万ヘクタールであった1980年には700万ヘクタールに拡大した。その20年間に流域人口は1400万人から2700万人とおよそ2倍に、河川からの取水量は647億tから1200億tに増加し、しかも取水量の90%以上は灌漑用水に使われた。1999年時点で、灌漑農地は790万ha、河川からの取水量は1100から1170億tに達している。主として栽培された作物は綿花、米、小麦、牧草などで、いずれも多くの水を消費する。莫大な水を灌漑に転用した結果アラル海への流入量が劇的に減少し、流入と湖面蒸発のバランスが崩れ、湖面積の縮小と10‰から35‰へと塩分濃度の上昇を招いた。アラル海は北部の小アラルと、南部の大アラルに分断され、両方とも縮小が続いた。

  特に大アラルの湖水減少は急激で、特に東部の湖水は浅くなり大アラルは東部と西部に分断されつつある。それらの過程で、アラル海生息魚類の死滅や農薬による流域の汚染、流域住民の平均寿命低下などの健康被害、流域環境と生態系の悪化など多くの問題が引き起こされている。さらには1991年のソビエト連邦崩壊後に流域各国が独立し、2つの大河からの水利用に関して上流国・下流国間に深刻な水紛争が持ち上がった。

  そこで現在はソ連崩壊後に浮かび上がったシルダリアとアムダリアにおける水問題に焦点をあて、水管理が流域の水環境に与える影響だけでなく、領域の気候変動が水循環全体のトレンドに与える影響も解析している。例えばアラル海における気象データは過去30年間に強い気温上昇を示しており、それが春季の融雪早期化および夏季の水不足をもたらしている。現地ウズベキスタンの研究者も、人為的な影響と気温上昇によって広域の地表面が変化していることを報告している。これらの問題を明らかにするために、長期間の水文・気象データおよび衛星データ解析を行っている。さらには水循環システムを理解し水文モデルを構築するために、2006年からウズベキスタン・キジルクム砂漠において気象観測所を設置し観測を続けている。

 


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