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「東南アジア産物交易における 仲介商人ネットワークの役割 ―19世紀前半のシンガポールを中心に―」[東南アジアの自然と農業研究会 第151回定例会](関連する学会・研究会)

 

日 時:2011年6月17日(金) 16:00~18:00
場 所:京都大学地域研究統合情報センターセミナー室
(稲盛財団記念館2階213号室) *通常と部屋が異なります



題目: 『東南アジア産物交易における 仲介商人ネットワークの役割 ―19世紀前半のシンガポールを中心に―』

話題提供者: 小林 篤史(京都大学アジア・アフリカ地域研究研究科)

 

【発表要旨】
本報告は、19世紀前半の東南アジア域内交易の成長を統計的に示し、さらにその域内交易を担ったシンガポールのアジア人商人活動の実態を明らかにすることを目的とする。
近年、近代東南アジアの貿易拡大を19世紀後半の植民地期に見出す従来の認識を修正する、19世紀前半の東南アジアの貿易活性化を指摘する研究がみられる。アンソニー・リードは19世紀前半の東南アジアにおける胡椒、コーヒー、砂糖の輸出成長率が、19世紀後半よりも高かったことを長期のデータから示し、前半期の活発な貿易活動を明示した(Reid, 1997, The Last Stand of Asian Autonomies)。すなわち、19世紀前半のアジア人商人主体の貿易活性化に、近代東南アジアの輸出経済拡大の契機があったことが示唆される。こういった研究の流れを深化させていくために、本報告では19世紀前半の東南アジア域内交易の動向と、その担い手であるアジア人商人活動の実態を、イギリス植民地港シンガポールに焦点を当てながら考察する。
まず統計資料を用いて域内交易の動向を把握する。19世紀前半の東南アジアにおけるイギリス海峡植民地(シンガポール・ペナン・マラッカ)とオランダ領ジャワの貿易統計を吟味し、これら4植民地の近隣東南アジア地域との交易、すなわち域内交易を抽出すると、少なくとも1820年代以降、英蘭植民地を中心とした域内交易は成長していた。そしてその成長にシンガポールは大きな比重を占めていた。
シンガポールの域内交易は、西欧商人の仲介業を担う商人を中心に、現地の言語、文化、商業慣行に精通した華人、ブギス人、マレー人といった多様な商人の活動が繋がることで成立していた。仲介商人を結節点とした彼らの活動によって西欧からの綿工業品、中国へ運ばれる森林産物や海産物、そして現地大衆食糧の米が流通していた。シンガポールの域内交易は、域外の貿易体制に対してオープンでありながら、そこはアジア人商人たちが商業知識、取引関係、そして資本を蓄積するフィールドだったのである。
最後に、近代東南アジア経済史における、19世紀前半の域内交易成長の意義に若干の検討を加えたい。前近代からの東南アジアの経済展開の主役は、多様な生態環境の差異を利用して利潤を上げる、脱生態的な存在である商人たちであった(原,1999,『エリア・エコノミックス』)。東南アジアの商業活動が西欧主導の世界経済と密接に結び付き、近現代の局面に移行していくに際して、域内で醸成された地域市場秩序(支配体制、法体系、経済慣習、社会規範)がどのような役割を果たしたのかを、域内交易という視点から考察する。

 

*会の後には懇親会を予定しております。

 

 

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連絡先:
佐々木 綾子 TEL 075(753)7839 e-mail: sasaki22[at]asafas.kyoto-u.ac.jp
柳澤 雅之 TEL 0775(753)7346 e-mail: masa[at]cias.kyoto-u.ac.jp

研究会WEBサイト
http://www.cseas.kyoto-u.ac.jp/seana/
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