Custom Search

Language

Contents

アンケート

本サイトをおとずれた理由

本サイトをおとずれた理由は何ですか?

  •  プログラム概要閲覧
  •  研究会情報
  •  プログラムメンバー
  •  フィールドステーション
  •  報告閲覧
  •  プログラム成果閲覧
  •  写真閲覧
  •  公募
  •  その他
このアンケートにはさらにもう 2 件、質問があります。
結果
他のアンケートを見る | 96 voters | 0 コメント

ログイン

ログイン

第159回アフリカ地域研究会(関連する学会・研究会)

京都大学アフリカ地域研究資料センター
第159回アフリカ地域研究会のご案内

日 時:2009年10月22日(木)14:00 ~ 17:00

場 所:稲盛財団記念館3階318号室(京都市左京区吉田下阿達町46)
http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/access/campus/map6r_b.htm


演題1:「エチオピアにおけるジェンダーと女性器切除(FGM):アルシ・オロモの事例」

講師1:ヒルート T. ゲメダ(京都大学大学院アジア・アフリカ地域研究研究科、客員教授)

【要旨1】
エチオピアの研究者や国家、開発機関は、文化的伝統の名の下に実施されるFGMが、女性の健康に及ぼす様々な害について明確な理解を欠いていたようだ。FGMは研究者にとって社会的な問題として問題化されてこなかった。ゆえに本研究は、なぜFGMがエチオピアの多くの社会で継続して実施されてきたのかを明らかにすることを目的に行ってきた。
本発表では、サハラ以南のアフリカにおいて、とりわけエチオピアに注目して何がおこっているのかを明らかにする観点からFGMをとりあげる。FGMの習慣をやめるという点については、エチオピアの社会一般、特にここではアルシ社会についてその考え方や態度の変化は非常にゆっくりとしている。しかし、FGMが広く行われているところでは、公衆衛生や「性と生殖に関する健康」に重大な問題となっており、この国の既に欠陥のある保健サービスにとって大きな負担となっている。
最後に、本発表では、アルシ・オロモの人びとにとってのジェンダー関係とFGM、そして女性自身のFGM認識について議論する。女性のアイデンティティーが社会的文化的に構成・統合・修正されており、現実の生活における女性性の経験にも生来的な曖昧さがあり、特定の社会的関係に埋め込まれた矛盾がある、というような多岐にわたる経路に基づいていることをふまえて分析する。
男性による女性支配がすべての局面で社会的に受容されているので、エチオピアの女性が彼女らのセクシャリティーや、FGMによって直面する問題について語ることは期待されていない。性関係にはしばしば年齢やジェンダーによる権力の不均衡が組み込まれており、物質や資源へのアクセスにも不均衡がある。このような権力の不均衡のために、少女や成人女性は、自分たちの身にふりかかる性的な出来事に対して、あるいは彼女ら自身のセクシャリティーに対して、ほとんど制御することができないのである。


演題2:「民族科学および在来の知識システムを展開するための可能性-アフリカ牧畜社会における在来の技術的知識と実践(ITKP)を事例として-」

講師2:ゼレマリアム・フレ(ロンドン大学(UCL)上級研究員 ・アフリカの角 牧畜・環境ネットワーク(PENHA)理事)

【要旨2】
この30年ほどのあいだに、社会人類学者、人文地理学者、生態学者、社会学者、そして革新的な自然科学者たちは、世界各地の伝統的な知識体系がもつ科学的な価値、そしてその体系を活用する可能性についての理論的な把握を進展させるために、多大な努力を傾注してきた。
しかしながら、開発政策が立案される現場や、そうした知識をもっている人びとが属するコミュニティのレベルでは、あまり進展がみられなかった。このことはアフリカにもあてはまる。社会の発展につながるような良質のITKPを取り出して記録し、実際に応用してみたり、複製したり、あるいはより良いものに高めるために、コミュニティ・レベル(草の根レベル)で実際におこなわれた研究のレベルはあまり高くはなかったし、そのために投入された資金もまたわずかなものであった。ITKPを日常的に実践している人びとは、ITKPに多様な興味をもつ研究者たちに彼らの知識を気前よく提供してきたにもかかわらず、その研究成果は、かれらの生活を改善するためには、ほとんど役立っていない。
ITKPは、政策立案にもコミュニティ・レベルでも、開発のためにうまく活用されていないが、それをさまたげているのは以下の要因である。
第一には、研究は「北側」の諸国(とくに西欧と北アメリカ)によって支配されており、そのパートナーであるはずの「南側」の国々は従属的な役割しか果たしていないことがある。研究の卓越した中心地は「北側」にあり「南側」の人びとはそうした中心に対してオーナーシップをもたない。
第二には、長期的な視野や方針に基づいてITKPに関する研究に投資することが必要だが、それが欠如している。残念なことに多くのアフリカ諸国の政府は、おおむね「緑の革命のドグマ」を信奉し、それが経済的発展にとってもっともよい方策であると考えており、そして同時に、ITKPは時代遅れであって、投資するには値しないものと見なしている。わたしは、おそらくこの点がもっとも困難な障碍であると思う。わたしたちがITKPは有益であるという主張をひろめようと考えるならば、アフリカ諸国において政策を立案している政府機関を説得しなくてはならないが、それはかなりむずかしい。
最後に、多くのアフリカ諸国は政治的に不安定であり、グッドガバナンスが達成されていないし、紛争もおこっているため、人口の大移動がおきている。その結果、ITKPを保持・発展させるために必要な教育をうけた人びとが不在になっていることが多い。多くの国々は、国家の安全保障を最優先の課題としており、それに多大な投資をしているため、ITKPに対してはほとんど投資できない。
こうした多くの困難が存在するにもかかわらず、わたしは以下のように信じている。
すなわち、地域社会は多くの良質のITKPを保持しており、それを活用しながら人びとの生活の質を高めていくことが可能である。そして、またそうしたITKPを抽出して記録し、明確にして複製することには多くの可能性がある。また、わたしは以下のようにも主張したい。アフリカ諸国の発展のためにITKPが活用できるという主張をひろめるためには、「近代科学の研究ツール」は有用な手段となる。そのためにわたしたちは、想像力をきちんとはたらかせ、また、「北側」と「南側」の双方から適切な量の資源を得る必要がある。


アフリカ地域研究会の案内をFAXおよびE-mail でお送りしています。
ご希望の方は下記にお知らせ下さい。
連絡先:京都大学アフリカ地域研究資料センター、宮本可奈子
TEL:075-753-7821 FAX:075-753-7810
E-mail:kanako[at]jambo.africa.kyoto-u.ac.jp