日 時:2010年1月18日(月) 16:00~18:00
場 所:京都大学東南アジア研究所 稲盛財団記念館3階大会議室
http://www.cseas.kyoto-u.ac.
講師:川井秀一(京大生存研)
「熱帯森林生命圏と人間圏・地球圏の繋がり」
コメンテーター:生方史数(岡山大)、甲山治(京大東南ア研)
インドネシアを含む低緯度地域は、中・
インドネシアにおける産業造林政策は、
川井先生には、熱帯人工林のあり方と意義について、現場(
キーワード:熱帯 産業造林 持続性 循環 炭素排出権 Carbon Offset Carbon Footprint HWP REDD 生態系 生物多様性
報告者の川井先生からは、イニシアティブ3および生存圏研究所で調査対象とされてきた、インドネシアの4つのフィールド(Riau Biosphere、 MHP、PT Wana Subur Lestari、Alas Kusma)における産業造林の現状説明に加え、各地域での木材生産の持続性にかかわる環境要因と技術的な取り組みについて解説していただき、森林生命圏の持続性を主として「生産」という側面から論じていただいた。甲山先生は、PT Wana Subur Lestariを対象に進めている各種観測データ分析の経過を紹介され、泥炭湿地林における持続性評価で考慮すべき点を指摘された。また、生方先生は、生命圏と人間圏の関係性について、2つの圏が持つ相異なる論理とその相異性ゆえに生じる認識の違いについて整理するとともに、そもそも「森林」とは何を指すのか、「天然林」と「人工林」の違いとはどのようなものか、森林以外の他の生命圏の位置づけなど幅広い論点を提出された。
これらの発表を受けて、天然林/人工林といった人為攪乱の有無による森林の分類よりも、生物多様性・炭素固定・物質循環といった機能をより重視した視点から森林をとらえるべきとする意見や、森林の持つ文化的・生態的・経済的価値から評価を行うべきとする意見や、産業林は遷移と人為攪乱のバランスの上に成立しているという意見など、森林生命圏のとらえ方に関する議論に加え、閾値を利用した持続性評価の方法など、インドネシアの森林生命圏をパラダイム形成の具体的な場として考えた場合に、検討すべき課題が多岐にわたって提出された。今後は、イニシアティブ2、3を中心にこれらの議論をさらに進め、森林に関するより広いインプリケーションを提示できるよう努力してゆく必要がある。
(文責 佐藤孝宏)
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