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京都人類学研究会1月例会(2009/01/16)

日 時:2009年1月16日(金) 18:00開場 (18:30 開始)
場 所:京都大学稲盛財団記念館3階中会議室(京都大学東南アジア研究所キャンパス内)

会場までの道のりは、以下のアクセス・マップをご覧下さい。
アクセスマップ:http://www.cseas.kyoto-u.ac.jp/about/access_ja.html

【演題】
人類イヌイト化計画:解放と連帯のための美学

【要旨】
「知識」とは何だろうか。私たちは脱コンテキスト化された「知識」を当たり前と考えることに慣れすぎてはいまいか。「知ってゆくこと」から「知識」を脱コンテキスト化して抽出し、その「知識」を記述したり、伝達したり、継承したり、利用したり、果ては売り買いすることの意味をどこまできちんと考えているだろうか。
この発表では、発表者の調査の成果に基づいて、カナダ極北圏の先住民であるイヌイトのIQ(「イヌイトが知ってきて知りつつあること」Inuit Qaujimajatuqangit)とは何かについて考察しながら、以下のことについて論じ、人類学が目指すべき地平について考える。
(1)IQとは、イヌイト個々人が人間を含めた万物と関係を切り結んでゆくための相互行為の作法のことであり、「知識」というかたちで分離することはできない。
(2)現在、極北圏の環境管理や環境開発の現場やヌナヴト準州政府の運営の現場でイヌイトが主張しているのは、テクノサイエンスや官僚制が万物を管理する作法とは異なるIQという作法に正当性があるということであり、自らの作法が蒸留と区分化の操作によって「知識」に変換されてテクノサイエンスと官僚制の支配と管理の作法に取り込まれることに対する抵抗である。
(3)IQがテクノサイエンスや官僚制と異なる点は、テクノサイエンスや官僚制が意識的な超コード化(もしくは第三項排除)によるものであれ、脱コード化(「帝国」のやり方)によるものであれ、支配と管理(もしくは搾取と抑圧)の様式で万物を秩序化する一方で、IQは偶然を利用する繋がりによって多次元的な平面を多重的にコード化することで、万物と多平面的に接続してゆく様式で万物と交流する点にある。この意味で、IQには、支配と管理の様式で万物を搾取して抑圧してしまうテクノサイエンスや官僚制のやり方とは異なる万物との交流の作法が示されていると言える。
(4)もちろん、テクノサイエンスや官僚制のすべてが悪いわけではなく、その働きによって人類はかつてないほど緊密に結びつき、大きな幸せを手にした。問題は、その作法には支配と管理(搾取と抑圧)の構造が組み込まれていることであり、この構造を固定化することなく流動化して相対化することである。支配と管理の様式が役立つ場合もある一方で、それが固定化してしまうと搾取と抑圧が恒常化してしまうからである。
(5)IQの多次元的接続の作法はテクノサイエンスや官僚制の支配と管理の作法に論理的に先立つとともに包摂するため、IQの作法の多次元的な接続の一部にテクノサイエンスと官僚制の作法を組み込んで相対化することが可能である。これを「人類イヌイト化計画」と呼びたい。この計画はテクノサイエンスや官僚制の近代の作法をIQの多次元的接続の作法で補完するという意味で「人類補完計画」と呼ぶこともできる。
(6)人類学が目指すべき地平とは、この「人類補完計画」(私個人としては「人類イヌイト化計画」)を実施するために、生きた「社会的労働」もしくは「協働」(マルクス)あるいは「仕事」(今村仁司)を「知識」や「具体的有用労働」(生産的労働)に蒸留して区分化するのではなく、多次元的に接続するための作法を考えだすことにある。それは「知識」の記述と流通ではなく、人のあり方を身体に閉じ込められた個体から解放しつつ新たな連帯の様式で結びつける作法の研究、すなわち解放と連帯の美学のかたちをとるかもしれない。

【備考】
*事前の参加予約は必要ありません。
*当日は、資料代として200円をいただきます。
*京都人類学研究会は、京都を中心とする関西の人類学および関連分野に関心をもつ大学院生・研究者がその研究成果を報告する場です。どなたでも自由に参加いただけます。


【お問い合わせ先】
丸山淳子(1月季節例会担当)
清水展(京都人類学研究会代表)

 


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