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「生存圏科学とバイオ材料」 [ 第14回研究会 ] (G-COEパラダイム研究会)

活動の記録>>

日 時:2008年12月15日(月) 16:00~18:30 (その後懇親会あり)
場  所:京都大学 東南アジア研究所 稲盛記念館3F大会議室
http://www.cseas.kyoto-u.ac.jp/about/access_ja.html

講師: 矢野浩之(京都大学生存圏研究所)
生存圏科学とバイオ材料 -未来の車は植物から創る -

コメンテーター:阿部健一(総合地球環境学研究所 )

植物が陸上に上がったのは約5億年前のことであるが、その後、決して快適とは言えない地球環境の中で進化を遂げ、今では、地球上のバイオマスの約95%を占めるに至っている。樹木は生存圏における環境浄化や炭素固定において重要な役割を果たすと共に、そこから得られる木材には、21世紀における持続的な資源、エネルギーの供給源として大きな期待が寄せられている。食料用のみならず様々な資源材料として赤道域におけるバイオマス資源の重要性は年々増しており、アジア・アフリカ地域を考える際に切り離して考えることは出来ない。しかし、栽培により循環可能な資源であるバイオマスも無節操に利用するだけでは、近年の森林資源の荒廃や食料価格高騰等の問題が引き起こされたことからも分かるように逆に我々の生存圏を脅かすことになりかねず、地域研究からの最適(と思われる)提案を積極的に行っていかなくてはならない。本講演では講演者が研究を牽引しているナノファイバーを木材から取りだし、鋼鉄の様に強い植物材料やガラスのように熱膨張が小さく、しかし、プラスチックのように曲げられる透明材料の開発成果の最新状況を示し、将来の生存圏のあり方の一つを示す。これに対し、社会・制度・文化・経済等、アジア・アフリカ地域から見たバイオマス資源のあり方について議論を深めたい。




 

【活動の記録】

発表者からは、木という素材の可能性と、単にそれを利用するのではなく、木の声を聞き、木の思いを生かすという日本型の科学(Jサイエンス)への熱い思いが語られた。
人口が増大し、それに伴い消費が拡大している現在、石油資源に依存した社会のあり方を見直し、太陽エネルギーに依拠した社会を構築していく必要がある。そのためにはバイオマス、特にその90%以上を占める木質バイオマスを利用することが第一である。
木は軽くて強い。実験したところ、パルプの繊維一本で1.7ギガパスカルの負荷に耐えることがわかった。加えて、法隆寺五重塔の心柱を使った実験では、2000年経ってもほとんど強度が変わっていないことも明らかになった。さらに熱膨張率も小さい。パルプは幅10ナノメートルの細い糸(ナノファイバー)が集まってできているが、これまではそれを十分に利用することができなかった。しかしここ10年ほどのナノテクノロジーの発達によって、ナノファイバーをモノづくりのマテリアルにするという道が開かれた。
その具体例としては、植物でつくる自動車(軽量化により炭酸ガスの排出を減らす効果も期待できる)、ナタデココでつくる自由に曲げられるテレビ、あるいはコンピュータの基盤などがある。こうした技術はいずれも、99%あるいはそれ以上を木(生き物)が作り上げたものなのであり、言ってみれば木の思いに、人が入り込んでいき、それを受け止めて材料を創る、ということである。こうしたすべての生物を尊敬し、その力を借りるという科学のあり方(Jサイエンス)は世界に向けて発信されるべきものである。

これに対しコメンテーターは、生態人類学者T. Ingoldを援用し、彼のいう「Sphere的世界観(人間が環境に埋め込まれ(embedded)、一体化している状況)と「Globe的世界観(環境から離床し(disembedded)、客観的に眺めたり介入したりする状況)の区別から、発表者、さらにはGCOEが目指すところはどこにあるのか、考えないといけないのは自動車社会の在り方を変えることではないのか、と問いかけた。加えて、バイオマス資源をエネルギーとして利用する際の問題点(超低密度の分散型のエネルギーであることや泥炭湿地からバイオエタノールを得るときに放出されるCO2など)が指摘された。さらに、持続可能性に代わって地球研が追求する「未来可能性(futurability)」、それに向けたreproductive consilience(統攝、E. O. Wilsonの概念)の観点が示された。
 
フロアからは、実際の技術が伴う問題(大企業だけでなく現地の住民にとっても有益な利用法とは、コストダウンが引き起こす消費の拡大という問題をどう防ぐか)などの問題が提起されたり、biosphereの論理をどう学ぶべきかについての見解が求められたりしたが、「植物の思いを生かす」という姿勢に対しては賞賛の声が挙がっていた。
 
この研究会においてはGCOEが目指す科学・技術のあり方の方向性が垣間見えたように思われるが、それは理系・文系双方の研究者の歩み寄りによる部分が大きい。今後、さらなる展開が期待される。

 (文責 木村周平)

 

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