第38回「東南アジアの社会と文化研究会」(2008/09/19)

日 時:2008年9月19日(金) 16:00~18:00
場 所:京都大学大学院アジア・アフリカ地域研究研究科
総合研究2号館(旧・工学部 4号館)4階 会議室(AA447)
http://www.asafas.kyoto-u.ac.jp/about/access.html

話題提供者:長谷千代子(九州大学非常勤講師)

演題:「中国における文化言説と少数民族
――徳宏タイ族の日常的実践にみる「文化の政治と生活の詩学」―― 」
要旨:
中国における少数民族としてのタイ族は、代表的な「民族伝統文化」とされる水かけ祭りによって広く知られている。しかし、雲南省西部に位置する徳宏タイ族ジンポー族自治州のタイ族にとって、そのライフサイクルの中でより重要な意味を持っているのはポイ・パラをはじめとする上座仏教的な積徳行であり、その上座仏教のあり方も、タイ・ビルマ・西双版納などのそれとは異なる特徴を持っている。また、いわゆる精霊信仰もさかんであり、道教や儒教文化の影響も広く見られる。

「民族伝統文化」「宗教」「風俗習慣」「迷信」といった「文化」に関する中国公定の言説は、徳宏タイ族のそうした多様な文化的実態を単純化し、国家にとって望ましい少数民族とその文化のイメージを作り出そうとする傾向がある。しかし現実には、人びとの日常的実践や、グローバリゼーションによる様々な影響によって、そうした文化の語り方は絶えず揺さぶられ、意味を掘りくずされたり、端的に変更させられたりしながら日々変容している。同時にその言説の影響を受けながら、徳宏タイ族の文化的実態そのものも変容を遂げている。

本発表では現代中国の国民化の過程において、「文化」に関わる公的な言説と、徳宏タイ族の人々の文化的実態とが、相互にどのように影響しあいながら彼らの生活をどう再編しつつあるかという課題について考察する。

研究会ホームページ
http://www.asafas.kyoto-u.ac.jp/kenkyuukatsudou/syakai-bunka/index.html

備考
・事前の参加予約は必要ありません。
・当日は、資料代として 200円をいただきます。
 

 
[ 研究会世話人]
杉島 敬志(京大大学院アジア・アフリカ地域研究研究科)
林 行夫(京大地域研究統合情報センター)
速水 洋子(京大東南アジア研究所)
伊藤 正子(京大大学院アジア・アフリカ地域研究研究科)
王 柳蘭  (京都大学大学院・アジアアフリカ地域研究研究科)

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