HIV/AIDS in UGANDA (2008/05/27)

活動の記録>>

日 時:2008年5月27日(火) 15:30~17:30
場 所:ASAFAS共用棟(川端)3階 セミナー室

講 演:"Can Enhancing Local Behaviour Practices Significantly Contribute to HIV and AIDS Prevention? -Lessons From Uganda"

演 者:Edward K. Kirumira教授 (ウガンダ共和国マケレレ大学社会科学部学部長)
→こちらも参照

発表要旨:
ある時期HIV予防の成功例のように取り上げられていたウガンダも、近年では逆にHIV感染率の増加が注目されるようになっている(UNAIDS 2006)。これはコンドームの一時的な不足や、非現実的なほど禁欲的な性的行動規範を推進する福音派教会の結婚前性交渉自制運動への反動などのせいだと言われる(Bass 2005; The Economist 2006)。
だが、2000年以降のウガンダでのHIVをめぐるこうした停滞と悪化の状況は、コンドーム不足と福音派の運動に明らかに先行した事態だったのだ(Kirumira, 2008)。では、このネガティブな傾向をどう説明できるか?もうひとつの説明の可能性として、この傾向は―少なくとも部分的には―1980年代後期のカジュアル・セックスを戒める「ゼロ・グレイジング」、草の根コミュニティの教化など、性交渉の相手を減らすこと/貞節であることに焦点化したキャンペーンを徐々に廃止したことがあげられる(Epstein, 2007)。
この発表では、国家全体の取り組みにつながるような広いコンテクストでのマルチ・セクター・アプローチから、HIV予防とAIDS発症抑制に対するローカルな実践を見直す議論をする。

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/en/article.php/20080527

活動の記録:
当日は、20数名という人数ながら、ASAFAS所属の研究者、博士課程大学院生だけでなく医学研究科、文学研究科など他研究科、および大阪大学、龍谷大学など他大学の研究者、それにウガンダ、ザンビアなどアフリカからの留学生という多彩な参加者をむかえ、講演とその後の討論がもたれた。
国際機関・欧米日諸国から巨額の対アフリカ援助資金が投入される感染症による貧困問題。わけてもHIV/AIDSに関する問題は、当事国政府の政策と連動して世紀をまたいだ長期的なとりくみが続けられている。とくに、AIDS発症を抑制する「治療薬」(抗ウイルス薬)が開発された現今においては、HIV/AIDSは「死にいたる病」から「慢性病」となって、問題の長期化、社会化(「HIV/AIDSとともに生きる社会」の模索)がすすんでいる。
しかし同時に、この問題に関しては「医療的アプローチ」がいまだ卓越しており、巨額の援助資源をめぐる「援助とAIDSのポリティクス」の側面、そしてこの病をめぐる社会への波及的な影響などはどちらかといえば軽視されがちな傾向がある。キルミラ教授の講演は、(1)従来の予防キャンペーンの社会的影響について、とくに禁欲主義的キャンペーンの陥りがちな矛盾や逆説的な帰結を検討し、(2)草の根レベルでのローカルな実践を見直し、コミュニティによる取り組みの可能性を模索する、という2点について、非常に示唆的な講義であり、講義後の議論もこの2点に関して活発なやりとりがなされた。




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