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「近代タイ=中国「外交」関係―地域的・歴史的再検討」(イニシアティブ1 研究会)

活動の記録>>

日 時:2008年5月12日(月) 16:00~18:00
場 所:東南アジア研究所東棟2階E207

報告1
小泉順子(CSEAS)
「近代タイ=中国「外交」関係―地域的・歴史的再検討」

討論者:籠谷直人(京大人文研)

報告2
生方史数(CSEAS)
「コモンズにみるローカルな制度形成プロセスの現代性」

討論者: 竹田晋也(ASAFAS)

司会:藤田幸一(CSEAS)

発表趣旨:

報告1
 長年にわたる中国との朝貢関係を背景に流入した多数の中国人人口を抱えていたタイ(シャム)であるが、1852年に派遣された最後の朝貢使節が帰国して以来約一世紀間、いわば「無朝貢・無条約状態」が維持された。だがこの間両国間において「外交」的交渉がなかったわけではない。朝貢再開、条約締結をめぐる両国間の交渉は継続し、シャムは一貫して結論を先延ばしした。交渉過程において提起される問題群からは、1853年を朝貢関係中断=対中国関係の終焉とみなし、それ以降専ら英・仏による周辺地域の植民地化・領土喪失問題、不平等条約とその改正問題に集中してきた従来の近代外交史研究の枠組みの見直しとともに、二国間関係史にとどまらず「民」の動きも含めた外交・交渉過程を対象とする多軸的な関係や、東/東南アジアに歴史的に培われてきた地域秩序をふまえた長期的・広域的枠組みへの転換の必要性が提起される。

報告2
 資源・食料価格の高騰や天然資源の劣化など、資源の希少化は今や世界的な問題になっており、資源節約的な技術や制度の開発・導入が望まれている。誘発的革新の理論が示唆するように、これは資源節約的な技術や制度の採用への強力なインセンティブになりうる。しかし一方で、希少化が必ずしも新たな技術や制度につながらないことも多い。特に、公共財的な特徴を持つ資源を扱う場合、この傾向はより重要なものとなるかもしれない。本報告では、タイ東北部におけるコモンズ(コミュニティーの共有資源とその管理制度)の変容プロセスをもとに、資源管理の制度がどのように需要され、供給されるのかを論じた。







【活動の記録】

報告1
 報告では、1860年代から1880年代半ばにかけておこなわれた進貢再開問題をめぐる交渉過程と、1880年代半ばから1900年代にかけての条約締結問題をめぐる交渉過程を概観した。そして国内に存在した多数の中国人人口を背景にして、進貢であれ条約であれ、明確な拒否も受諾もできない状況におかれたシャムが、天津からの進貢の提案や時期尚早といった理由を挙げて対応せざるを得なかった様や、中国問題が時には西欧の脅威以上に深刻に感じられていた可能性も示され、中国や他のアジア諸国との関係を軸に西洋を位置づけなおす必要性も指摘された。

コメンテーター(籠谷直人氏)からは、近年中国史において、朝貢システム論に対する批判として、清代には対外関係の基本を「互市」としたという問題提起がなされていることが紹介され、それを踏まえて、天津ルート提案と互市との関係という問題、および朝貢関係の傍ら、通商的実態はもう少しやわらかいものであった可能性があるのではないかという指摘があった。また新華僑=老華僑という観点から、徴税制度や大陸との紐帯に対する姿勢の違いを考える必要性が指摘された。さらに福田省三著『華僑経済論』において指摘されるタイ華僑の金融部門への投資比率の高さとその外交史的な含意について問いが提起された。加えて、フロアより、西洋史の立場から、ヨーロッパにおける「条約」概念自体の変容にも着目する必要性が指摘された。

以上、報告者にとって、タイ史を越えた諸方面からシャム=中国関係を位置付けなおす糸口を得る有益な機会であったが、生存基盤という問題領域にいかに接近するか課題として残される。今後13世紀に遡るタイから中国への朝貢関係の長期的ダイナミズムを念頭におきつつ、19世紀後半以降の問題を位置づけなおす歴史的視座を探っていきたい。

報告2
 生方報告では、タイ東北部におけるコモンズ(コミュニティーの共有資源とその管理制度)の変容プロセスをもとに、資源管理の制度がどのように需要され、供給されるのかを論じた。その結果、外の世界との接触からもたらされる要因が、コミュニティー内の資源の賦与状況よりも大きな制度変化への圧力となっていることを指摘した。調査結果をふまえ、資源の希少性と制度変化との関連を考察する際に注目するべき3つの側面を整理し、これらの側面は、現代の「繋がったコミュニティー」において資源の希少化が持つ意味を反映していると指摘した。

コメントと議論
・地域の自然条件や歴史的背景も、制度変化のプロセスに重要な影響を与えているのではないか。
・近年のタイにおける社会変化によって、資源としての意味に変化が生じているように思われるが、その影響はないのか。
・かつての日本の入会制度とは異なり、タイの共有地の資源は、それが生存に絶対に不可欠であるとまではいえない。それが、このような結果に反映されている側面はないだろうか。

(文責 小泉順子、生方史数)

 

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