「水熱循環研究からみた自然の変動と潜在力に関する考察」(イニシアティブ2 研究会)

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日 時:2008年4月28日(月)15:00~18:00
場 所:京都大学東南アジア研究所東棟2階会議室

発表者:
甲山 治(G-COE特定助教)
「水熱循環研究からみた自然の変動と潜在力に関する考察」

 孫 暁剛(G-COE特定研究員)
「グローバル社会における生業牧畜民の適応戦略:非平衡生態系、脆弱性と持続可能性」

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総合討論
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【活動の記録】

「グローバル社会における生業牧畜民の適応戦略:非平衡生態系、脆弱性と持続可能性」 
 
「東アフリカ乾燥地域の自然環境の特徴は降雨が少なく、その地域的・季節的な変動が大きく、そして短期と長期的な干ばつがひんぱんに発生することである。またこの地域では、20世紀後半に大規模な開発・援助プロジェクトが実施され、伝統的な生業牧畜がグローバリゼーションや市場経済の影響をつよくうけるようになった。発表者のフィールドワークによって、今日の牧畜民の適応戦略が以下のように明らかになった:①資源(牧草・水場)の共同利用の維持、②多様な資源を効率よく利用して高い移動性の維持、③移動と定住を両立する新たな居住形態の確立、④年齢体系にもとづく分業体制や出自に依拠した協力関係などの社会制度の重視、⑤牧畜を生業の中心に据えながら経済の多角化の模索(家畜市を利用、出稼ぎなど)である。
 
本発表における主な議論は以下の二点である。①狭義の環境収容力の考えを批判し、動的平衡の概念を用いて牧畜民の適応戦略と持続型生存基盤を再評価すること。②グローバリゼーションや国家の政治経済システムに取り込まれることによって、牧畜社会の脆弱性が増大していること。発表者は、資源に対するアクセス・マネジメント能力の低下によって、災害などの不確実要素に対する防備能力が低下することと、災害によるダメージから回復力が低下することが脆弱性の増大に要因と考えているが、さらなる議論が必要である。
 

(文責者 孫 暁剛)

 

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