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東南アジアの自然と農業研究会 第135回定例研究会(2008/4/18)

日 時:2008年4月18日(金) 16:00〜18:00
場 所:東南アジア研究所 東棟2階第1教室
京都市左京区吉田下阿達町 46
川端通り荒神橋東詰め

話題提供者:矢ケ崎 朋樹 (財団法人地球環境戦略研究機関)

発表テーマ:「自然環境の『資源性』を評価する-植物社会学からのアプローチ」

「保存食にするゼンマイ」、「炭(燃料)に利用されるコナラ」、「屋根葺きに使うススキ」、「神事の場であるタブノキ林」のように、地域に自生する植物は多様な目的の下で資源として有効利用され、その土地に暮らす人々の生活文化の基盤を支えてきた。しかし、今日の日本では、輸入木材や化石燃料への依存度の高まりを背景に人々の世代交代も相俟って、身近にある植物資源の保護と利用に関する知識・技術の伝承が急速に途絶えてきており、そのことが管理放棄に伴う森林の荒廃、ひいては災害の激甚化を招くなど、多くの問題を派生させている。植物を「資源」として利用する人間の叡智がその価値とともに次第に忘れ去られつつあり、このことが、自然環境と人間活動(生業・生活文化)との調和を通して維持・形成されてきた地域固有の景観(例えば里地里山)の持続可能性を脅かすと同時に、保全を考慮する上での阻害要因になっていると考えられる。

 自然環境の保全を考慮する際には「自然性」が重要視される場合が多い。例えば、植物群落については、人の手が加わっていない自然植生に対して最も高い評価がなされる一方、人為的影響の下で成立した代償植生は低く評価される。しかし、自然環境と人間活動(生業・生活文化)との調和を通して維持・形成されてきた里地里山においては、「自然性」の視点だけでは計り知れない多様な"保全のインセンティブ"が内在しており、既存の手法では適切な評価結果が得られない場合がある。そこで、発表者は、植物社会学的な基礎研究に取り組むなかで、「自然環境の保全のインセンティブとは一体何であるのか?」という問題を前提として、自然環境の基盤を成す植生(植物群落)を対象に「保全のインセンティブに関連する"多様な特性"を表現するための手法開発」に着目してきた。

 本発表では、植物群落に備わる多様な特性のうち、とくに、人々の暮らしに役立つ性質(以下、この性質を「資源性」と呼ぶ)を取り上げ、「資源性」の側面から植物群落を評価する試みについて紹介する。日本国内の里地里山を対象とした事例研究では、「食材・薬材・飲料」、「建築材」、「農具・漁具・猟具・民具」など、「資源性」を指標する15項目(以下、「資源特性」と呼ぶ)を設定し、植物種/群落の利用に関わる民間伝承・記載等の収集・分析を行った。この結果、

   * 森林はすべての資源特性を包含した多特性空間であること
   * 「資源特性の多様性」の観点では、「水田の保全」は「森林の保全」と同様の意味があること

などが示唆された。

 本研究における評価手法をベースに、植物利用の民間伝承に関する情報収集や他地域との比較分析を更に行うことで、植物群落に関する資源特性、地域特性(固有性)をより的確に具現化することが可能になると考えられた。ひいては、そのことが、自然環境保全のインセンティブ形成の役割を果たし得ると考えられた。

■WEB SITE:
http://www.cseas.kyoto-u.ac.jp/seana/
  • 東南アジアの自然と農業研究会 第135回定例研究会(2008/4/18)
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