「中国における食品事情について」[基盤研究S「越境する感染症」研究会](その他の研究会)

日 時:2008年3月11日(火) 13:00~
場 所:東南アジア研究所 東棟2階 会議室(E207)

講演者:小板橋努(東南アジア研究所 研究員)
発表内容:中国における食品事情について

『中国、食の安全は』
2006年より、中国製品の安全性への疑問符が目立つようになってきた。アメリカにおけるメラミンが混入した原料を用いたペットフードによるペットの死亡や、パナマやハイチにおけるジエチレングリコールが混入した原料を用いた咳止めシロップ服用者の死亡などは記憶に新しい。そして、現在捜査中ながらも、2008年の冷凍餃子への有機系殺虫剤メタミドホスの混入事件により、日本での中国産食品への不安は頂点に達したきらいがある。しかし、中国産食品はそんなに悪いものなのだろうか。食料自給率がカロリーベースで40%を切っている日本の食卓は、中国からの食品を抜きにしては考えられない状態にある。とくに生鮮野菜に限れば、輸入品のうち中国産は60%を占めている。中国産食品を糾弾することは、同時に日本の食料自給率、ひいては日本人の消費行動も同じ土俵に乗せて考える必要もある。

中国では、2007年から食品安全に関する法律を矢継ぎ早に発布、施行している。1990年に中国から日本への輸出が始まった頃は、石や金属などの異物混入を防ぐことが『食品安全』だったが、90年代後半には残留農薬の検査が始まった。さらに現在では、600種類以上の残留農薬や動物用医薬品の分析をするに至っている。未だ基準値があいまいな点も指摘できるが、法制度の面を考えれば、正当なルートによって日本に入ってくる食品の安全水準は、信頼に値すると言えるだろう。

演者は、中国山東省の青島において、主に日本への輸出食品の安全性の分析をする会社(青島中検誠誉食品検測有限公司 http://www.asia-aa.co.jp/〈日本語〉)にかかわり、ここで微生物だけでなく、残留農薬分析や動物用医薬品分析にも携わっている。特に残留農薬に限れば、分析の検出限界値がppb(μg / kg)レベルになっている状態で、日本の残留基準値を超える量の残留農薬が検出される例は、非常に少ない。輸出前の自主検査で残留基準地を越える商品は日本に輸出されないであろう事を考慮すると、おのずと中国産輸出食品の安全性を理解できる。

 


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